混合ワクチンって何が入っているの?(ワンちゃん編)
ワクチン
一度は耳にしたことがあると思いますが、詳しくはわからないという方も多いはずです。
そこで簡単にお伝えできればと思います。
感染症(細菌・ウイルス)が体内に入ると、自分の免疫が闘い、倒してくれます。
しかし、一度もかかったことのない感染症が体内に入ってくると、自分の免疫たちは闘い方がわからず負けてしまいます。
その闘い方を安全に覚えるためのものがワクチンです。
前もって感染力のない細菌やウイルスを体内に入れることで、免疫たちが闘い方を覚えます。
万が一、次に体内に入ってきた時には闘い方がわかっているので重い症状になることなく倒すというわけです。
ワクチンの種類
ここで大事なのが、予防できる感染症ごとに「コアワクチン」「ノンコアワクチン」「非推奨ワクチン」という3種類に分類されていることです。
「コアワクチン」・・・全ての動物に接種が必要とされるワクチン
「ノンコアワクチン」・・・生活環境に応じて接種を考慮すべきワクチン
「非推奨ワクチン」・・・接種しても効果が不十分
つまりコアワクチンが入っていて、ワンちゃんの生活環境に合ったワクチンを選べば大丈夫です。
犬の混合ワクチンの中身は?
では犬の混合ワクチンにはどんな感染症に対するものが入っているのでしょうか?
犬の混合ワクチンはいろんな製薬会社からいろんな種類のワクチンが出ています。
犬では2種、5種、6種、7種、8種、10種とあります。(2023年4月現在)
こんなにたくさんあって、どれを打てばいいの?
たくさん守れた方がいいからとりあえず10種?
そう思われるかもしれません。
そこでワクチンの種類と感染症ごとに簡単に説明していきます。
まずはコアワクチンについてです。
コアワクチンには「犬ジステンパーウイルス」「犬アデノウイルス」「犬パルボウイルス」に対するワクチンが含まれています。
犬ジステンパーウイルス感染症
伝染力が強く死亡率が高い病気。
発熱、鼻水、目やにといった風邪のような症状や食欲不振、下痢・嘔吐といった消化器症状が出る。
神経症状が出て麻痺することもある。
犬アデノウイルス感染症1型(犬伝染性肝炎)
発熱、鼻水・くしゃみ、下痢・嘔吐といった風邪のような症状を引き起こす。
その後肝臓に炎症を起こし、肝機能不全に至ることも。
無症状からの突然死を起こすこともある怖い病気。
犬アデノウイルス感染症2型
「ケンネルコフ」(犬伝染性気管気管支炎)と言われる病気の原因の一つ。
感染力が強く、発熱、鼻水・くしゃみ、咳といった風邪様の症状が出る。
進行すると肺炎を起こして死亡することもある。
治療は長期化することが多い。
犬パルボウイルス感染症
伝染力が強く、死亡率が高い病気。
激しい下痢や嘔吐を繰り返し、重度の脱水を引き起こす。
次にノンコアワクチンについてです。
ノンコアワクチンとは「パラインフルエンザウイルス」「レプトスピラ」に対するワクチンです。
犬パラインフルエンザウイルス感染症
犬アデノウイルス感染症2型と同様でケンネルコフを引き起こす原因の一つ。
症状も同様で、重症化すると肺炎を起こし死亡することもある。
犬レプトスピラ感染症
レプトスピラ感染症とは、レプトスピラという細菌が犬や牛、馬といった家畜、さらには人間にも感染する人獣共通感染症(ズーノーシス)です。
レプトスピラにはたくさんの「型」があり、7種・8種には2つの型(7種には犬コロナウイルスがない)、10種には4つの型が追加されています。
レプトスピラという細菌はネズミのオシッコやウンチから出てきて、その排泄物やそれが溶け出た土や川から感染します。
つまり、感染する場所として山や川、ネズミの多い地域(山や田畑が近い、飲食店街など)となります。
感染してしまうと肝臓や腎臓に障害を引き起こし、最終的に命を落とす可能性があります。
最後に非推奨ワクチンについてです。
非推奨ワクチンとは「犬コロナウイルス」に対するワクチンです。(COVID-19とは異なります)
犬コロナウイルス
感染すると胃腸炎を引き起こすウイルスです。
症状は軽度の下痢・嘔吐で、無症状のこともあります。
では何種の混合ワクチンを選べばいいの?
病院によって取り扱っている混合ワクチンは異なります。
当院では5種と10種を扱っていますが、大切なコアワクチンはいづれも含まれています。
居住地や生活環境、活動範囲によってどちらかをお選びください。
「5種」・・・基本的に室内で飼われていて、散歩の時に家の近くを歩くぐらい
「10種」・・・年に1回でも山や川にレジャーやキャンプに行かれる方
家の近くが田んぼや畑が多い、または飲食店が多い
家の近くにネズミが多い
しかし、可能な限り多くを予防したい!という方は10種を打たれても構いません。
混合ワクチンによる副作用は多くないですが、種類が増えるだけ多少の発生頻度は上がります。
とはいえ10種混合ワクチンでも副作用の発生頻度は少ないです。
念の為混合ワクチン接種は午前中に行うことが望ましいです。(深夜に副作用が出ても対応が難しいため)
その他、わからないことがあればいつでも気軽に相談してくださいね!
この記事をシェアする